RMSで顧客分析ができない理由|見えない5つの数字と出し方

楽天市場

RMSでは顧客分析ができない理由|”何人買ったか”は見えて”誰が離脱したか”が見えない構造

結論からお伝えします。RMSで顧客分析ができないのは、あなたの使い方が悪いからでも、探し方が足りないからでもありません。RMSが「注文を管理するシステム」であって、「顧客を追跡するシステム」ではないからです。設計思想の問題なので、画面のどこを探しても、求める数字は出てきません。

ただし、絶望する話でもありません。分析に必要な元データは、RMSの中にすべて揃っています。RMSに「表示されない」だけで、「存在しない」わけではない——この区別が本記事の出発点です。

楽天市場で【◯◯】店舗の運営を10年支援してきた筆者が、RMSで見える数字と見えない数字の境界線、そして見えない数字を自力で出す方法を解説します。

まず公平に:RMSで「見える」数字を整理する

RMSを貶める記事にはしたくないので、先に確認します。RMSのデータ分析機能で見えるものは、実務で十分に役立ちます。

  • 売上・注文件数・客単価の推移
  • アクセス人数・転換率(CVR)・流入元
  • 商品別の売上・アクセス
  • 広告(RPP等)のクリック・ROAS
  • 新規とリピーターのおおまかな比率

共通点にお気づきでしょうか。これらはすべて、「期間」を軸にした集計です。今月のアクセス、今月の売上、今月の転換率。店を「月次の成績表」として見るには、これで足ります。

問題は、店の利益を決めているもう一つの軸——「顧客」を軸にした数字が、ここにほぼ存在しないことです。

RMSで「見えない」5つの数字

具体的に挙げます。次の5つは、店舗の利益に直結するにもかかわらず、RMSの画面からは読み取れません。

1. F2転換率——初回購入者のうち、2回目を買った人の割合 新規・リピーターの比率は見えても、「今年3月に初めて買った482人のうち、何人が2回目を買ったか」という追跡型の数字は出ません。リピートの勝負は2回目でほぼ決まる(筆者はこれを「F2の壁」と呼んでいます)ため、これが見えないことは、リピート対策の照準が定まらないことを意味します。

2. 2回目購入までの日数分布——離脱が起きるタイミング 2回目購入が初回から何日目に集中しているのか。この分布が見えないと、フォローメールやクーポンを「何日目に打つべきか」が勘で決まります。施策の中身より、タイミングのズレで外していることは非常に多いです。

3. 獲得月別の残存率(コホート)——お客様が減っていく速度 今年1月に獲得したお客様と6月に獲得したお客様では、残り方が違います。獲得月ごとに束ねて追跡しないと、「最近の新規客の質が落ちている」「あのイベントで取った客は残らない」といった変化に気づけません。

4. 初回購入商品別のLTV——どの入口から入った客が残るか 商品別の売上はRMSで見えます。しかし「その商品から入ったお客様が、その後いくら使ってくれたか」は見えません。広告の入口にすべき商品は、ROASが良い商品ではなく、この入口LTVが高い商品です。ここが見えないまま広告を運用すると、「1回目の成績は良いが客が残らない商品」に予算を注ぎ続けることになります。

5. クーポン単位のLTV貢献——投資クーポンと出血クーポン クーポンの利用件数・値引き額は見えます。しかし「そのクーポンで買ったお客様が、その後も残ったのか」は見えません。使われて終わりの出血クーポンと、リピーターを生む投資クーポンの区別がつかないまま、値引きだけが続きます。

5つに共通するのは、どれも**「一人のお客様を、時間をまたいで追いかける」**ことで初めて出てくる数字だという点です。そしてRMSには、この「追いかける」機能がありません。

なぜRMSはこうなっているのか——欠陥ではなく設計思想

理由はシンプルで、RMS(Rakuten Merchant Server)は受注・店舗運営のためのシステムだからです。注文を受け、処理し、発送し、売上を締める。この業務を回すことがRMSの仕事であり、その目的に対してRMSはよくできています。

顧客を時間軸で追跡する分析は、そもそもの守備範囲の外にあります。加えて、モールの構造上、顧客との関係の主導権はモール側にあり、店舗が自由に使える顧客接点には一定の制約があります。店舗独自の顧客分析基盤を提供することは、RMSの役割として設計されていない——欠陥ではなく、役割分担の問題です。

だからこの問題は、RMSのアップデートを待っていても解決しません。顧客軸の分析は、店舗側が自分でやるしかない領域です。

見えないまま放置すると、何が起きるか

「見えない」ことの実害を、数字で確認しておきます。

見えない数字は、対策されません。仮に、新規のお客様1人の獲得に広告費1,500円をかけている店で、初回購入者の70%が二度と戻ってこないとします。月に300人の新規を獲得しているなら、210人分・31.5万円の獲得コストが、毎月回収の機会を失っている計算です。

この31.5万円は、RMSのどの画面にも「損失」として表示されません。売上のグラフは伸びているかもしれません。しかし実態は、穴の空いたバケツに広告費で水を注ぎ続けている状態です。売れているのに利益が残らない楽天店舗の多くが、この構造にはまっています。見えないから対策されず、対策されないから毎月同じ額が消え続ける——これが「RMSで顧客分析ができない」ことの本当のコストです。

元データはある:注文CSVから顧客分析を自力でやる方法

冒頭に書いたとおり、必要なデータはRMSの中にあります。注文CSVには、いつ・誰が・何を・いくらで買ったかがすべて記録されています。表示されないなら、自分で集計すればいい。手順を隠さず書きます。

手順1:注文CSVをダウンロードする RMSの注文管理から、注文データをCSVでダウンロードします。顧客の動きを追うには期間が命なので、最低12ヶ月、できれば全期間を取得してください。

手順2:キャンセル注文を除外する ステータスがキャンセル(900)の注文を除外します。ここを飛ばすと顧客数・売上に水増しが入ります。

手順3:同一顧客を名寄せする 最難関です。同じお客様の注文を「同じ人」として束ねられなければ、顧客分析は始まりません。実務では電話番号+注文者氏名の組み合わせで判定するのが最も精度の高い方法です。メールアドレスは楽天の仕組み上、注文ごとに変わることがあるため、名寄せキーには向きません。

手順4:顧客ごとに購入履歴を時系列に並べる 名寄せした顧客IDごとに、購入日・商品・金額を時系列で並べます。これで初めて「一人のお客様の物語」がデータになります。

手順5:5つの数字を集計する ここまで来れば、先ほどの「見えない5つ」はすべて計算できます。F2転換率、2回目までの日数分布、獲得月別コホート、初回商品別LTV、クーポン別のその後。Excelのピボットテーブルと関数で、やろうと思えば可能です。

具体的な計算式は、姉妹記事で詳しく解説しています(→ 記事①:リピート率の出し方/→ 記事②:LTVの計算方法)。

ただし、Excelでの継続には覚悟が要ります

正直にお伝えします。この作業、初回は1店舗あたり丸1〜2日。そして分析は一度きりでは意味がなく、施策の答え合わせのために毎月、同じルールで繰り返す必要があります。名寄せの精度が月によってブレると、数字の変化が施策の効果なのか集計のブレなのか、判別できなくなるからです。筆者自身、Excelでの月次運用を試みて【3ヶ月】で挫折しました。

RMSで顧客分析ができないこと自体は、この記事で説明したとおり構造の問題です。しかし「だから手作業で頑張る」は、多くの店舗にとって現実解ではありません。重要なのは、毎月続けられる形でこの数字を持つことです。

まず、自店が「見えているか」を30秒で確かめる

ここまでの5つの数字、あなたの店ではいくつ見えているでしょうか。8問の質問に◯×で答えるだけの無料診断を用意しました。見えていない数字の数と、業態・月商規模から推定される毎月の損失額をその場で試算します。登録不要・30秒です。

【CTA:▶ 無料の損失診断をやってみる(登録不要)】

自店の実数で確かめたい方には、注文CSVを入れるだけで5つの数字が自動で出る無料枠もあります。データはブラウザの外に一切送信されない設計です。「お客様の個人情報を外部サービスに預けられない」という理由で顧客分析を諦めていた店舗でも、社内の許可を取りやすい構造にしてあります。

よくある質問

Q. RMSの「新規・リピーター比率」ではダメなのですか? 店全体の傾向をつかむ入口としては有用です。ただしそれは「今月の購入者の内訳」であって、「初回購入者がその後どうなったか」の追跡ではありません。比率が同じでも、中身(誰が残り、誰が消えたか)はまったく違うことがあります。打ち手を決めるには追跡型の数字が必要です。

Q. 楽天の規約上、注文データを分析に使って問題ありませんか? 自店の受注データを自店の運営改善のために分析すること自体は、店舗運営の通常業務の範囲です。注意すべきは扱い方で、顧客の個人情報を含むデータを外部のサーバーやサービスにアップロードする場合は、規約とプライバシーポリシー、社内の管理ルールに照らした確認が必要です。データが外部に出ない形で分析する方法を選べば、この論点自体を回避できます。

Q. 外部の分析ツールを入れれば解決しますか? 「顧客軸の追跡」ができるツールであれば解決します。選ぶ際の確認点は3つです。①楽天の注文CSVの仕様(名寄せ・キャンセル処理)に対応しているか、②F2転換・コホート・初回商品別LTVまで出るか(売上集計だけのツールも多いです)、③顧客データの置き場所はどこか(外部サーバーに預ける方式か、手元で完結する方式か)。特に③は、導入時に社内・クライアントの承認が取れるかを左右します。

FAQの最後に書いたツール選定の3条件を、そのまま自分に当てはめておきます。

ミエルLTVは、①楽天の注文CSVをそのまま読み込み、名寄せ(電話番号+氏名の正規化)とキャンセル除外を毎月同じルールで処理します。②本記事で挙げた5つの数字——F2転換率、2回目までの日数分布、獲得月別コホート、初回商品別LTV、クーポン別のその後——がすべて出ます。③そして、CSVはブラウザの外に一切送信されません。

③は、機能の話ではなく社内・クライアントの承認が取れるかどうかの話です。「顧客の個人情報を外部サービスに預けられない」という理由で顧客分析を諦めてきた店舗のために、この設計を選びました。

無料枠があります。まずは直近12ヶ月分を入れて、自店のF2転換率だけでも確かめてみてください。

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