楽天でリピーターが増えない本当の原因|施策の前に「離脱地点」を特定すべき理由
結論からお伝えします。楽天でリピーターを増やす施策は、実質的に次の5つしかありません。①フォローメール ②同梱物 ③クーポン ④2回目専用オファー ⑤入口商品の設計——この記事で全部解説します。
ただし、先に一番大事なことを言います。リピーターが増えない店舗の大半は、施策が足りないのではなく、順番が間違っています。「どの施策をやるか」の前に「お客様がどこで消えているか」を特定していないため、正しい施策を、効かない場所に打ち続けているのです。
弾を増やす前に、照準を合わせる。この記事は「施策リスト+照準の合わせ方」をセットで解説します。楽天市場で【◯◯】店舗の運営を10年支援してきた筆者の実測データがベースです。
「施策はやっている。でも増えない」——その正体
リピート施策の相談を受けるとき、何もやっていない店舗は実は少数派です。多いのはむしろ逆で、フォローメールも配信している、同梱チラシも入れている、クーポンも配っている——やることはやっているのに、増えないという店舗です。
こういう店舗の注文データを分解すると、ほぼ毎回、同じものが見つかります。施策と離脱地点のズレです。
実例を挙げます。ある食品系の店舗は、フォローメールを初回購入の30日後に配信していました。丁寧な文面で、開封率も悪くない。ところが注文データで「2回目購入が初回から何日目に起きているか」の分布を出すと、山は14日目にありました。つまりこの店のお客様は、商品を使い切る2週間前後で「もう一度買うか」を決めていた。30日目のメールは、お客様が戻るかどうかを決めた後に届くラブレターだったわけです。
この店がやったことは、メールの文面変更でも、クーポンの増額でもありません。配信日を30日目から14日目に変えただけ。施策の中身は1文字も変えていません。それで数字が動きました。
施策が悪かったのではない。照準がズレていただけ——リピーターが増えない店舗で起きていることの多くは、これです。
照準の合わせ方:先に見るべき3つの数字
では、どこにズレがあるかをどう特定するか。見るべき数字は3つです。
① F2転換率——そもそも、どれだけ漏れているか 初回購入者のうち、2回目を買った人の割合です。リピートの勝負はほぼここで決まります(2回目を買った人が3回目を買う確率は自然と高くなります)。筆者はこれを「F2の壁」と呼んでいます。まずこの数字で、自店の漏れの大きさを掴みます。
② 2回目購入までの日数分布——いつ決まっているか 先ほどの実例の数字です。2回目購入が初回から何日目に集中しているか。この山の位置が、フォローメール・クーポンの正しい配信日です。商材の消費サイクルによって店ごとにまったく違うので、他店の「◯日後が正解」記事を参考にしても意味がありません。
③ 初回購入商品別のリピート率——どこから漏れているか 「店全体のF2転換率が25%」の内訳を商品別に割ると、たとえば商品Aからの入店客は45%、商品Bからは8%、というバラつきが必ず出ます。漏れは店全体で均等に起きているのではなく、特定の入口に集中しています。この特定が、施策の優先順位を決めます。
この3つはいずれも、RMSの画面には表示されません(理由は別記事で詳しく書いています→記事③)。注文CSVから自分で集計する必要がありますが、出し方は後半で説明します。
施策リスト:離脱原因×施策の対応表
照準が合ったら、ここで初めて施策です。冒頭の5つを「どの離脱原因に効くか」とセットで渡します。同じ施策でも、離脱原因が違えば効き方がまったく違う——ここがリスト記事との違いです。
| 診断結果(数字から見えたこと) | 効く施策 | 打ち方のポイント |
| 2回目の山とメール配信日がズレている | ①フォローメール | 山の【3〜5】日前に配信日を移す。文面より日付 |
| F2転換率が低く、初回体験の記憶が薄い | ②同梱物 | 割引券より「次に買うべき商品の提案」。LTV最高の購買ルート(勝ちパターン)の2番目の商品を載せる |
| 山の時期に来店はあるが買っていない | ③クーポン | 山に合わせた期限つき2回目クーポン。ばら撒きは出血になるだけ(→クーポンの投資/出血の見分け方は記事⑪) |
| 初回単価が高く、2回目の心理ハードルが高い | ④2回目専用オファー | 小容量・お試し設計の「2回目専用商品」で壁を下げる |
| 特定の入口商品だけ極端に残らない | ⑤入口商品の設計 | 残らない商品への広告を絞り、リピートが生まれる入口に予算を寄せる(→ROASとの逆転現象は記事⑨) |
逆に言うと、照準なしで打つとどうなるか。②の同梱物を「残らない入口商品」の箱にだけ入れ続ける。③のクーポンを全員にばら撒いて出血させる。①のメールをズレた日に打ち続けて「メルマガは効かない」と結論づける——施策の在庫を消費するだけで、数字は動きません。
やってはいけない2つのこと
**その1:施策を同時に複数始める。**気持ちは分かりますが、同時に打つと、数字が動いたときにどれが効いたのか永遠に分からなくなります。1つ打つ→翌月F2転換率で答え合わせ→次を打つ。この順番が結局一番速いです。
**その2:「リピート率◯%を目指す」という目標の立て方。**率は結果であって、操作できる変数ではありません。操作できるのは「配信日」「同梱物の中身」「入口の予算配分」だけです。目標は「配信日を山に合わせる」のような行動の形で立ててください。
3つの数字の出し方(手順)
照準用の3つの数字は、RMSの注文CSVから集計できます。手順を隠さず書きます。
**手順1:**RMSの注文管理から注文CSVをダウンロード(最低12ヶ月分、できれば全期間) **手順2:**キャンセル注文(ステータス900)を除外 **手順3:**電話番号+注文者氏名で同一顧客を名寄せ(メールアドレスは注文ごとに変わることがあるため不向き) **手順4:**顧客ごとに購入履歴を時系列に並べ、F2転換率/2回目までの日数分布/初回商品別リピート率を集計
詳しい計算式は姉妹記事にあります(→記事①:リピート率の出し方/記事②:LTVの計算方法)。
正直に書くと、Excelでやると1店舗で丸1日〜2日かかります。そして施策の答え合わせのためには毎月同じ集計が必要です。筆者自身、月次のExcel集計は【3ヶ月】で挫折しました。照準の重要性を誰より分かっている人間でも、手動では続かない——リピート施策が「打ちっぱなし」になる本当の理由は、ここにあります。
まず、自店の照準がズレていないか30秒で確かめる
フォローメールの配信日は、自店の「山」に合っていますか。漏れている入口商品は、どれですか。——即答できなかった方は、施策の前に照準です。
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よくある質問
Q. リピーター施策はどれから始めるべきですか? 店によって違う、が正確な答えですが、迷ったら「2回目までの日数分布を見て、フォローメールの配信日を山に合わせる」からです。理由は、施策の中身を変えずに日付を変えるだけで済み、コストがゼロだからです。効果検証の練習としても最適です。
Q. フォローメールは何通くらい送るべきですか? 通数より配信タイミングが先です。山の手前に1通目を置き、反応がなければ山の直後に2通目、が基本形です。通数を増やす判断は、F2転換率で1通目の効果を確認してからにしてください。
Q. リピートしにくい商材(家具・ギフトなど)でも意味がありますか? あります。ただし狙いが変わります。同一商品の再購入ではなく、関連商品への展開(クロスセル)と、購入者からの紹介が主戦場になります。その場合も「どの商品の購入者が別の何を買っているか」(同時購入・購買ルートの分析)が照準になる点は同じです。


