サクサク度 ★★★☆☆
オススメ度 ★★★★★
こんな人におすすめ
右肩下がりの国内市場では、従来の良い商品を作るか、広告費を増やせば売れるいう戦略の効果がなくなっています。
そのような市場では、製品自体に焦点を当てるのではなく、顧客の行動を促す「行動デザイン」のアプローチが有効です。
なぜ、広告費をかけても売れないんだろ?とお悩みの方、製品やサービスの企画や戦略、マーケに携わる方にオススメです。
「モノ」ではなく、「行動」から発想する
「モノ発想」ではなく、「行動発想」で市場を考えることが必要です。多くの市場で右肩下がりの縮小傾向が見られる中、市場を回復させるためには、「代替品で説明する発想」ではなく、生活者の行動パターンに注目し、それに合わせたマーケティングを行う必要があります。
例えば、ビールと紙オムツが一緒に売れる理由は、お父さんが子育てを手伝うことで生活パターンが変わり、家でビールを飲むようになったためです。
このように市場を「モノ=商品カテゴリー」で規定する「モノ発想」ではなく、生活者の行動パターンに基づく「行動発想」で市場を考えることが重要です。
× モノ発想
〇 行動発想
右肩下がりの市場の処方箋はない?
従来の「モノ発想」ではビジネスが成立しなくなるため、新たな「行動発想」が必要です。
従来の市場でのシェア拡大は効果がなく、細分化した市場での戦略が求められます。しかし、この問題に対する正しい処方箋は存在しません。
今後は、市場の動向を踏まえ、消費者の行動やニーズに着目したビジネス戦略が必要です。
例えば、自撮り写真を撮ってすぐにSNSでシェアする行動に合わせた新しい写真ビジネスが求められたりするのではないでしょうか。
ヨーグルト: 味 ⇒ 朝食用 or 間食用
デジカメ: 場面を残す ⇒ SNSシェアするための道具
映画:コンテンツ ⇒ ファンタジー投影
「行動」がモノとモノをつなげる
例えば、日本酒がワインに比べ選ばれにくくなっていることに対しては、日本酒業界は「行動」と「モノ」をつなげる提案を行うことで、消費者に新しい選択肢を提供する必要があります。
例えば、脂の乗ったカルパッチョに合う吟醸酒などのメニュー提案を行うことが有効になります。
ターゲットは何のためにどんな行動をとりたがっているか?
人の行動を誘発する「行動デザイン」の考え方
「人は動かない」という認識心理学の考えに基づき、新商品の開発で成功するためには、コスト要因(お金だけではない)であるリスク(危険だけではない)を低減させることが必要です。
例えば、初めて行動するときのリスク感を緩和するために、「1年間返品OK」を売りにするなどが考えられます。
人間はエネルギー節約するため新しいことをやらない。やりたくないことは無料でもやらない。
そんなときに使える。。。
強烈な言葉!!
”ついでに”
人は思うほど動かない=行動を変えたくない。
〇〇買ってきて。 「何で私が。。。」
↓
”ついでに” 〇〇買ってきて。「まッ、どうせ行くし良いか」
現状の”ちょっとした延長”のお願いなら動かしやすい!(レジ横のガム)
レーンチェンジ
ほどほどになじみのある市場にスイッチ。なじみのものは、リスクに感じづらい。
音楽: コンテンツ ⇒ きもちよく走るためのサポート手段(ランニング)
今ある延長
例) フィットネス: 痩せるための運動と考えると腰が重いが。。。 ⇒ ゴルフの体感を鍛える
そのため、いかにコストを減らす提案ができるか? 入り口を極限まで下げることが大事!
コストの例
・金銭的 『値引きなど』
・肉体的 『簡単になど』
・時間的 『すぐになど』
・頭脳的 『簡単になど』
・精神的 『安心してなど』
本書で、意外に盲点だった。
”好き” と ”行動” は、相関していない。
好きだからといって、絶対に行動するわけでは無い。
・・・・・ などなど。
つづきは、本書でお楽しみください。
出版社 : すばる舎 (2016/8/6)
発売日 : 2016/8/6
言語 : 日本語
単行本 : 288ページ
ISBN-10 : 4799104985
ISBN-13 : 978-4799104989
寸法 : 13.8 x 2.3 x 19.6 cm
まとめ
商品が溢れかえって、機能で差別化することが難しい中では、【モノ】ではなく【コト】訴求が有効であると述べています。具体的な事例も豊富で、マーケティングを業務としていない人でも理解しやすい内容となっている。一度は読んで欲しいオススメ本です。
著者
博報堂行動デザイン研究所
行動デザイン研究所は(株)博報堂が「人を動かすマーケティング」を研究・実践する新組織として2013年に設立。国内外の膨大な事例から抽出した「人を動かす」知見を活用し、生活者のリアルな行動を促す「行動デザイン発想」のプランニングを支援している。「事業収益を生み出す顧客行動」をゴールとして明確化することで、クライアントのビジネス成果に直結したプランニングを提供することがミッション。
國田圭作(くにた けいさく)
博報堂行動デザイン研究所所長。1959年生まれ、1982年東京大学文学部卒業後、㈱博報堂に入社。以来、一貫してプロモーションの実務と研究に従事。2013年より現職。
大手ビールメーカー、大手自動車メーカーをはじめ、食品、飲料、化粧品、家電などのブランドマーケティング、商品開発、流通開発などのプロジェクトを手掛ける。
2006年に行われた第53回カンヌ国際広告祭の部門賞(プロモライオン)で審査員を務める。共著に『幸せの新しいものさし』(PHP研究所)がある。**
本書の要点