優れた商品やサービスが売れるのではない!『売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則』

ナンバー1 書籍

サクサク度 ★★★★☆
オススメ度 ★★★★☆

【課題】

ビジネスにおけるマーケティングの重要性や基本原則を学びたい人におすすめです。競合他社と比べて”もっと良い商品”、”もっと広告費が必要”、と努力しているのに結果がでない人への新たな考え方のご紹介です。

【要約】

「当たるもマーケ 売れるもマーケ」は、マーケティング戦略の専門家であるアル・ライズとジャック・トラウトが書いた本です。
この本では、彼らが長年の研究で見つけた「マーケティングの法則」を22個紹介しています。

「他より優れた商品やサービスが売れるのではなく、顧客の心にうまく認知されたものが売れる」ということがこの本の主なメッセージです。自社の強みや差別化を明確にし、競合と比べてどう優位に立つかを考えることが重要です。

1.一番手の法則 ~ 一番手になることは、ベターであることに優る

マーケティングの基本的な課題は、顧客があなたの商品やサービスが他に優っていることを納得させることではなく、先頭を切れる分野を創造することである。最初に顧客の心に入り込むことが重要であり、ベタープロダクト戦略やベンチマーク戦略は効力を発揮しない。知覚をめぐる戦いであり商品をめぐる戦いではない。」という文章をわかりやすく修正すると、「マーケティングの基本的な課題は、他社と差別化し、新しい市場を開拓することです。商品やサービスの良さだけでなく、顧客に心から受け入れられるような価値提供が必要です。

2.カテゴリーの法則 ~ あるカテゴリーで一番手になれない場合には、一番手になれる新しいカテゴリーを作れ

新しい市場を開拓することが重要であり、ある分野での成功は、同業者に刺激を与え、市場が拡大することを意味します。成功するためには、希望を捨てず、試行錯誤を続けることが必要であり、他社が行っていないことを見つけ、その市場で成功することができます。成功は、競合他社と比較して自社の強みを見つけることによってもたらされます。

3.心の法則 ~ 市場に最初に参入するより、顧客の心の中に最初に入るほうがベターである。

「一番手の法則」という考え方は、市場に最初に参入することが重要であると主張しますが、実際には、顧客の心に最初に入り込むことが重要です。IBMの例から、マーケティングにおいては、商品よりも知覚をめぐる戦いが優先されることがわかります。起業家は、革新的なアイデアを思いつくことができますが、そのアイデアを顧客の心に吹き込むことが課題です。この問題に対する解決策は、金銭的なものではありますが、すべてのマーケティング上の問題を解決するのは金銭ではありません。顧客の心に刻まれた印象を変えることは非常に難しいため、初めに顧客の心に入り込むことが重要であるという考え方があります。

4.知覚の法則

マーケティングにおいて商品の優劣が勝利の決め手ではなく、顧客や見込客の知覚が重要であることを主張しています。現実や事実は客観的なものではなく、人々の認識や知覚が現実であると述べています。また、個人の認識力が優れているという自己中心的な傾向があり、マーケティング計画は、知覚の操作に基づくものであることを示唆しています。商品を中心とした発想ではなく、知覚に合わせたマーケティング計画を立てることが重要である

5.集中の法則

一つの言葉やコンセプトを顧客の心に焼き付けることが、マーケティングにおいて成功するために必要不可欠であると主張しています。特に、最初にそのカテゴリーで一番手になる会社は、象徴的な言葉を植えつけることができますが、競合他社が出てくると、より焦点を絞った言葉が必要になることがあります。成功した言葉は、簡潔で、利点を伝える言葉であるべきであり、ハロー効果によって顧客の心に定着することが期待できます。しかし、言葉が永遠に持ちこたえることはできないため、会社は定期的にマーケティング戦略を見直す必要があります。

6.独占の法則

競合会社が既に占有しているポジションを打破することが困難であること、また競合相手の商品コンセプトの重要度を高めることが相手の立場をより強固にすることを指摘しています。市場調査に基づくマーケティングキャンペーンを実施することは危険であり、同じ言葉を使用することが効果的ではないことが明らかになっています。この文章の例として、バーガーキング社が市場調査に基づき、自社のサービスが早いことを強調した広告を出したが、既にマクドナルド社がそのポジションを占有していたため失敗したという事例が挙げられています。このように、市場調査に頼りすぎることは、他社に占有されているポジションを知らずに同じ言葉を使用し、競合相手に優位を与えることになる可能性がある。

7.梯子の法則

商品を顧客の心の中に存在する梯子に乗せることでマーケティング戦略を立てることが重要であることを主張しています。各商品は、顧客の心の中でカテゴリーごとに梯子の段を占めています。マーケティング戦略が成功するかどうかは、梯子のどの段にあるかによって決まります。商品の自尊心にかかわる場合や、購買の頻度が低い場合は、梯子の段数が多い傾向がある一方で、不快な経験を伴いやすい商品は梯子の段数が少ない傾向があります。また、七段の法則に基づいて、人間の脳が七個以上の情報を処理できないため、商品の数は七つ以下にすることが望ましいとされています。マーケティング戦略の成功は、市場シェアとも相関関係があるため、梯子の段数を上げることで、マーケットシェアを高めることができます。

8.二極分化の法則

長期的なマーケティング戦略に関する内容が中心です。商品カテゴリーの市場シェアは、不安定であり、トップブランドはマーケットシェアを減らし、ナンバーツーはシェアを獲得することが予想されます。この状況はあらゆるブランドに当てはまり、成熟した産業では第三位は維持が難しいことが述べられています。しかし、マーケティングの法則によっても結果は変化するため、計画が諸法則に適合する場合、販売結果に影響を与えることがあります。競合力のあるナンバースリーである場合は、攻撃をかけても成果は得られないことが多い。また、トップ2以外に多数の競合がいる場合は、戦術の巧妙さによって結果が決まることがあります。しかし、多くのブランドが存在するため、資源が浪費され、市場は一部のトップブランドに絞られる傾向がある。

9.対立の法則

競合他社に対して効果的なマーケティング戦略を提唱しています。ナンバーワン企業を目指す企業にとって、ナンバーワンの強さは弱みに転じる可能性があり、自社の弱点を研いでおく必要があります。顧客層には、ナンバーワン商品を買いたい層とそうでない層があるため、ナンバーツーを目指す企業は後者にアピールする必要があります。競合相手に対するネガティブキャンペーンは真実の響きが必要であり、ロイヤル・ドルトン・チャイナ社の広告のように、ポジショニングを割り引くことでナンバーワンの立場を固めることができます。自社の対立馬として名乗りを上げることで、ナンバーワン以外の企業からビジネス機会を奪うことができます。また、商品は古くなるにつれてマイナスの要素を生むため、常に改善する必要がある。

10.分割の法則

マーケティングの舞台は、拡大し続けるカテゴリーの海と考えられます。カテゴリーは個別の存在であり、それぞれに存在理由があり、分割されるものであり、結合することはありません。企業経営者は、カテゴリーが互いに結合するという幼稚な考えを持っていることがあります。会社は、異なるカテゴリーで同じブランド名を使用するなどの過ちを犯すことがあります。タイミングは重要であり、新しいカテゴリーがものにならない場合があります。早すぎるよりは早い方がいいが、商品が成長するためには時間が必要です。

11.遠近関係の法則

短期的なマーケティング効果と長期的な効果が逆転することを指摘しています。例えば、バーゲンセールやクーポン付き販売は短期的に売上げを増やすことができますが、長期的には顧客に「正規の価格では買わないように教えこむ」ことになり、売上げを減少させることにつながります。そのため、常に安価販売を実施している大手小売店が勝者であることが示唆されています。また、この現象は他の分野でも起きる可能性があります。

12.製品ライン拡張の法則

製品ラインの拡張に関する問題を取り上げています。製品ラインの拡張は、企業による意識的な努力なしに連続して起こるプロセスであり、競争に直面すると長期的に効果を発揮しないことがあることが示されています。ブランドの名前を利用して、新しいカテゴリーに進出することや、単一ブランド哲学を信奉していることが成功のために重要であることがいくつかの例で示されています。ラインの拡張は効果が上がらないことが証明されているにもかかわらず、経営陣は自社やブランドを盲目的に信奉しており、危険な吊橋からの呼び声であると述べられています。したがって、企業はラインの拡張が忘れられる危険性に気づく必要があります。

13.犠牲の法則

「犠牲の法則」という考え方に基づいて、マーケティング戦略を考える上での重要性を強調しています。この法則は、製品ライン拡張を追求することが成功の鍵ではなく、むしろ製品ラインを減らすこと、特定のターゲット市場に絞ること、そして絶えず変更することを避けることが必要であると主張しています。また、マーケティングは商品やサービスをめぐる戦いではなく、知覚をめぐる戦いであると考える必要があると述べています。最後に、一貫性を維持することが成功の鍵であり、毎年戦略を変更することは不要である

14.属性の法則

競合他社が顧客の心に植え付けた言葉やポジショニングと同じものを使うことができないということを指摘し、自社独自の言葉や属性を見つけ出す必要があると述べています。また、ナンバーワン企業を真似するよりも、正反対の属性を探すことが賢明であり、マーケティングはアイデアの戦いであるため、独自のアイデアや属性を傾注する必要があると主張しています。さらに、すべての属性が平等な価値を持っているわけではなく、最も重要な属性を獲得する必要があることを強調しています。最後に、競合他社が優位に立っている属性には別の属性を見つけ出し、その価値を高めることでシェアを高めることが重要である

15.正直の法則

マーケティングの観点から、問題点を認めることが重要であり、相手の心を開くためには、まずネガティブ面を認めることが必要であると説明しています。また、ポジティブな発言よりもネガティブな発言の方が信憑性が高く、顧客に訴求する際には既に定着しているアイデアやコンセプトを利用することが効果的であると述べています。最後に、ネガティブなメッセージが広く認知されるように、注意深く利用しなければならない。

16.一撃の法則

マーケティング関係者に対して、成功するために必要なのは多数の小さな努力の総体的な成果ではなく、一つの大胆なアイデアやコンセプトを見つけ出すことであると伝えています。競合他社の弱点を攻撃するために、市場の状況を深く理解し、実際の計画作業に関わらなければならないことが強調されています。また、経営陣がマーケティング上の決定を他人任せにする余裕はなく、財務面だけでなくブランド価値にも注力しなければならない

17.予測不能の法則

マーケティングプランにおいて未来予測に基づく計画は失格であり、競合各社の反応を見通せないことが失敗の主な理由であることを指摘しています。代わりに、トレンドをつかみ、長期目標を設定し、変化を利用することが重要であると述べています。しかし、トレンドに取り組む場合には、推定に注意する必要があります。また、マーケットリサーチは過去を測定する場合に役立ちますが、新しいアイデアやコンセプトについては測定不可能であり、会社は柔軟性を備えて変化に適応する必要があると述べています。最後に、未来を予測することはできないため、未来に賭けることは避けるべき。

18.成功の法則

マーケティングを成功させるためには客観性が必要であり、エゴや自己の判断を市場のニーズと混同することは避けるべきであると述べています。製品ライン拡張の背後にある決定的なきっかけはブランドの成功であり、ブランドを有名にしたのは正しいマーケティング活動のおかげであることが強調されています。また、自己のブランドや社名にこだわりすぎることがライン拡張の危険な罠にはまる原因となり、顧客と同じように考える能力が優秀なマーケッターには必要であることが述べられています。さらに、マーケティングとは戦いであり、力の原則が重要であることが強調されています。最後に、情報を入手するためには他人になりすましたり、予告なしに出かけることが有効であり、時間の配分も重要である。

19.失敗の法則

日本企業の経営手法と、それがマーケティング上の決定に与える影響について述べています。日本企業は、過ちを早期に認め、コンセンサスに基づいた経営手法を取っているため、誰か一人に責任があるという厳しさがなく、個人的な配慮による決定が少なくなっています。しかし、この手法が、リスクを冒すことを避ける幹部によって大胆な行動が取られない原因にもなっています。一方で、アメリカ企業では、私的な便益がない限り何事も行わない会社もあるため、マーケティング上の優れたアイデアが却下されることがあります。このような私的事情を排除するためには、オープンなコミュニケーションが必要であり、経営にはティームワーク、団結心、犠牲をいとわないリーダーの存在が不可欠である

20.パブリシティの法則

会社がパブリシティを必要とするのは、問題や困難が生じたときが多い。パブリシティが一度始まると、延々と続くことが多い。新しいカテゴリーの先駆者である場合、そのカテゴリーがどのようなものなのかを説明することが必要。パブリシティの要点は、新製品が成功するということよりも、既存の商品が廃れそうだということにある。未来予測は不確実性が高いため、マーケティングにとっては有効な手段とは限らない。誇張されたパブリシティには真実がない場合があるが、本当の革命は予告なくやって来るものである。

21.成長促進の法則

マーケティングの視点からファッドとトレンドの違いを説明しています。ファッドは一時的な現象であり、しばしばパブリシティの対象となるが、長期的な影響力はほとんどなく、会社に大きな貢献をもたらすことはできません。一方、トレンドは長期的には極めて強力な力を発揮し、会社に大きな利益をもたらすことができます。また、ファッドをトレンドと取り違えることがあるため、会社は過剰なスタッフや生産設備、流通ネットワークを抱えてしまい、立ち往生することがあります。最終的に、商品の需要を長期的に維持するためには、トレンドに合わせたマーケティング戦略を立てることが重要である

22.財源の法則

優れたアイデアを実現するためには、資金調達と専門的なマーケティング支援が必要であることを強調しています。マーケティングは、顧客の心をつかむゲームであり、それには資金が必要であると述べています。広告やパブリシティは、金銭的な負担が伴うこともあり、資金調達が必要です。また、ベンチャー投資家や大手企業に依存することはあまり現実的ではなく、小さな会社を見つけて説得することが必要であると述べています。最後に、マーケティングにおいては、富者がますます富むことが多い

書籍

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

アル ライズ (著), ジャック トラウト (著)
出版社 ‏ : ‎ 東急エージェンシー出版部 (1994/1/1)
発売日 ‏ : ‎ 1994/1/1
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 231ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4884970233
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4884970239

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